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RC根本さんデイトナ参戦随行記 ’02.5.10

皆さんこんにちは。すっかりのご無沙汰でした。コーバで家庭で独り言とタメ息はたくさん吐いていますが、なかなか筆が進まずこのコーナー久々の更新となってしまいました。今年(02)の2月27日から3月5日までの根本さんチームのデイトナ参戦随行記です。神宮司さんのトコの庄司さんとボクがメカニック担当として随行した次第です。本来ならイタリアでの研修記を先にアップする予定でしたが、こっちは間を空けたせいか何時書き上がるか全く不明。そうしたことから、デイトナでもらった熱い思いが醒めない内にここでご紹介したいと思います。レース自体はRC本誌に詳しく、RCのHPにはほぼリアルタイムでアップされていましたので、あくまで私・マサトの感じたコト、まぁ雑感となりますがご紹介します。

なっ、なんだこの広さは

17、8時間の長いフライト。ボクくらいになると(たった2回目だけど)どうにか凌いで、そんなに疲れも感じずにアトランタ着。乗り換えて、1時間くらいだったろうかデイトナにまずは到着。この空港、岡山空港の昼間くらいの人しかいないが、なんだこれは。壁が柱がコンコースが…デカイ、思いっきり広い。何処が滑走路やら、エプロンやら。着陸したら広過ぎて迷子になってターミナルまで辿り着け無いんじゃないか。ふぅーむ。こんなモンでビビってたまるもんか。民族の名誉に賭けてナメられちゃいけない。平静を装うボクだったのですよ。はい。

「照明だってムダに明る過ぎるって。明るきゃイイって思ってるんだろなぁ。そんなモンじゃ無いのよねー。ワビとかサビの味わいは解らないだろなー。だからヨーロッパにバカにされんだよ。西の果て、文化の果つるトコって。どーも何でもかんでも大造りな様子。何て言うのか、味わいとか繊細の美とかのキビを感じさせない…ムフムフ、フフフ。易し!こんな文化でコンマ2桁のクライアンスをビシッて決める奴なんて居ないんじゃない?」とかとか、必要以上に自らを鼓舞したりして、すっかりアメリカのデカさに呑まれてしまっていたボクです。さてさて、明日はディランドってトコで調整のためのレースです。

えっ!何?!これっ!

アメリカの雑さ加減もなかなかヨイものです。この調整レースはディランド空港でやるそうです。「草レースやるから、ちょっと空港貸してよ」ってな具合でしょうか。日本じゃ考えられませんよね。見渡す限り、ズドォーンっと広い。何処もかしこも飛行機が降りれそう。何処から空港かなぁーっとか考えている間に到着です。日本みたくフェンスで厳重に囲んであったりしません。

パドックの店開きです。えェっ!ここは…資材置き場か何かだったに違いない。皆のトランポが並んでいる前は…コース??何ナニ、ここで走るの?オフ用のタイヤが要るじゃないか!それに、V7はそんなに長いストロークの足持って無いよ。それにそれに、遠くに見えるアノ路面の模様は…砂かドロだよあれゃ。

ふぅーぅ。メカで来てて良かった。ライダーじゃなくって。根本さんはっていうと至って平静。到着してからってもの、終始ニコニコ笑顔で周囲のエントラントと交流。他チームも随分と和やかムード。このレースだって、デイトナ前哨戦。それにしてはとてもとても和やかでおっとり静か。まぁこの路面じゃリキ入れ過ぎるとロクなことになりそうにもない。

[イメージ]
ディランドでのレース終了後、ヘッドを外して焼け具合の確認。デイトナでの高回転巡航対策で、バルブスプリングを少し強めに、バルブクリアランスも広めにするボク(膝だけ見えている)と庄司さん

豊かでオトナの空気

でもいったい何なんでしょうか。ここに流れているおっとりした陽気な空気は。上位常連のチームもパドックに来てはいるものの、ほんのちょろっとマシンを出すだけ。根本さんは午後のプラクティスを走っただけ。V7は中速域での加速がかなり力強くなっていると根本さんはご機嫌。

当初、違和感を感じたこのホンワカムードにすっかり馴染んだボクです。本来、レースってこんな空気の中でやるのが正しいのかなぁ。国内レースはモノが溢れかえっているのにどうもビンボ臭く、楽しさと興味の対象もチームと知合いの走りと結果が中心。ここに比べて随分と偏狭な気がする。楽しみ方も何か違うぞ。うまく言えないけど、ここで流れている空気は豊かでゆっくりしている。

[イメージ]
デイトナでの根本さんの走り。直線でかわされ、コーナーで挽回するといった、ずぅーとバトル状態のレース展開。ツナギの背中が「楽しい!」って言っていた

広くデカくガサツなだけじゃないんだ。オープンで直線的なのに、しっかりオトナなんだ。アメリカって。とか考えてるうちにレースはスタート。プラクティスでは根本さんが最速に見えたけど、プラクテイスでろくに走らせなかったチームの車の速いコト。直線ではV7が1番スピード乗って無いようにさえ見える。「本番での完走が目標、ここではコケないように…」とか言ってた根本さん。でもでも、とてもそうは見えない走り。直線で置いていかれ、コーナで詰める。の繰り返し。いきおい、超ハードなブレーキングと最も奥でのカットイン。パドック内ではヤンヤの喝采。根本さんの走りには他チームの方が熱い声援をくれていた。ボクにも盛んにアプローチしてくれる。言葉は分らないけど「な、なっ、おまえも楽しんでるだろ。だろっ」とか「よいぞ、よいぞ、何とかがエキサイティングだ」と言ってくれていたと思う。アメリカってヨイ所です。来て良かった。根本さんは4位で帰ってきた。

デイトナスピードウェイ

同時多発テロの影響か、サーキット入場にはIDの提示をもとめられました。きっちり1人づつ確認します。こういったのって慣れてないもので、正直言って緊張してしまうボクでした。うぅーん。きっちりやる時にはやるんだ。アメリカも。コースには水が浮いていた。気温も高くて湿度がとても高い。

デイトナ、やっぱりスゴイ。現物のバンクは、それはそれはデカイ!エスケープゾーンもスタンドも広い。ストレートの内側には…アレアレ、スーパークロスに使う立派なコースがあるではないですか。デイトナだ。デイトナへ来たんだ。先ずはCCSっていう団体主催のレースでエンジン設定をします。気温、湿度が高くて濃いのが常態になっているV7にはとても辛い条件です。その上、こっちのガスは日本のモノと随分と違っているのです。良く燃える?燃焼伝播が早いらしい。Eメールを神宮司さんやオヤジとやり取りして、薄くて早い点火の設定でCCSレースに臨みます。そして、なんとマ、このレースは2ストの250なんかとの混走なんですよ。V7がアプリリアなんかと走っているのって、なんとも…なんかヘン。しかも高速域でV7は2ストの250をブチ抜いていきます。まさしく轟音と共にバンクを賭け抜ける根本V7、大迫力でボクの腹の奥底まで響いてきます。来てるんだ、デイトナへ。ヘッドを外して燃焼状況確認すると、ちゃんと隅々まできつね色のピストンヘッドに。こっちのガスをちゃんと燃やす事が出来たみたい。

開けてみると、ピストンもプラグも「濃すぎるョ」の形跡を残していません。根本さんもニコニコ。さてさて、本番に向けて先ずは明るい兆しが見えてきたのでした。だからってわけじゃありませんが、その日はタイヤ交換だけしてボクと庄司さんは見学へ。バイクウィークは終盤に入ります。全米からドどっとバイクが集まって来ています。ハーレーがこれでもかって集まっている浜の方の通りへお出かけです。まぁ折角のアメリカです。ハーレーに敬意を表して。本物(?)のハーレー乗り達がうじゃうじゃ。どうも日本のハーレー乗りと違う。車種、改造も似たようなモノ。アジア系の顔付きのライダーも結構居るのに違う。周辺の景色、風景のせいでもない。何が違うんだろうか。上手く書けないです。

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ディランドのコースの路面です。いやはや・

アメリカってイイなぁ

本戦前日は車検、ライダーズミーティングです。パドックはには有名チームが続々と店開きしています。レースの運営にとてもとても感心するボクです。参加者に負担を掛けるコト無くして、観戦者が参加チームと触れ合い易い仕組みにしてあるのですよ。参加する側も観る側もホントにオープン。有名チームだって黒幕張ったりしてこもってない。観る側もどんどん声掛けていく。有名チームも全然お高くとまってたりしない。うぅーん。自由の尊重とオープンな仕組みってやつか。当然それが成り立つには、何ていうんだろ、個々人の大人の自律?基本的なお約束みたいなモノが根底に有るんだろうなぁ。やっぱり日本人じゃムリなんだろうか。レースに対する、期待する価値観っていうのか、楽しみ方が日本と全然違うぞ。うまく言えませんが、こっちの方がイイですよ。ホント。

バンク、スリップストリーム対応のために神宮司さんの指示どおり、庄司さんとバブルスプリングを強めに設定してた時だったと思います。お昼にサーキットで国歌が流れました。わいわいガヤガヤやってた周囲の人達は、スクっと背筋伸ばして胸に手を当て目をつむったり静かに歌ったりしてます。私達2人はどうしたものかと一瞬目を合わせましたが、作業を継続。ボクの頭の中では、何故今自分は恥じ入っているんだろっていう思いがグルグル廻っていました。

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速かった。何か独特の迫力のようなモノを感じさせたBAS。オヤジ達に言わせると「BSAじゃモン、そりャー速ぇーに決まっとローが」と言うが、今一つピンとこない。何で速いんだろ、 このジーさんバイク
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思いっきり速かったCB750。現役で走っていた頃にはボクは影もカタチも無く、まだオヤジの中でただのタンパク質だったはず。でも日本のナナハンが力強く走っている姿に妙に感動してしまいます。ニホンにも誇れるモノがあった!

すごい。あいつらは自分の国に誇りっていうか、少なくても自分の国としてアメリカが好きなんだ。ボク達日本人はどうだろう。「こんな行事の時には君が代を歌いましょう」「いやいや、そういった官制はまた不幸な過去を呼び戻すモトだ」確かボクが子供頃から国歌に付いてはずうっとこんな事しか言ってないと思います。歌うって決めて歌わせる。とか、歌うって決まって無いんだから歌わなくってイイ。こんなモンじゃないんだ。自分の国のコトが好きで誇りが持てれば姿勢も正すし、歌う。だいたい歌おうの歌うの止めようのって議論するのが恥かしいとホント思った。今まで「君が代問題」なんかこれっぽっちも考えたコトありませんでしたけど。

ボク達は国を愛していない。誇りに思っていない。ってことに気が付いたんです。あいつらが羨ましい。日本っていう国が「好きだ」と言い切れない自分が恥かしい。国民に「好きだ」って言ってもらえない国も恥かしい。

寒くて熱い日

あんなに蒸し暑かったのが本戦当日は、真冬の寒さです。いったいどうしたコトかセ氏5度。小雨も降ってて、ずうっとニコニコ、リラックスしてた根本さんも「ヤダなぁー」とか表情を一瞬見せてました。

古い古いトラが、CB750がぶっ飛んで行く。さすがにBSAもカッコ良くバンクを走り抜ける。こんな古い大型車たちがこんなスピードで目の前を走っているのを見ていても、ホントかいな、ウソだろう、信じられない。根本さんが絡んでいるグループが徒党を組んで轟音と共にバンクに入って行く。ス・ゴ・イ迫力。もっとちゃんと表現したい。けど…出来ない。コース上で発生している巨大なエネルギーが、路面を通じて足の裏から入ってきて脳天に抜ける。身体の芯はカッカと熱い。サーキット全体の空気は和み系のまま。でもゆっくり流れる時間の中で皆の「楽しんでるゾ」エネルギーも伝わって来るんです。

古いバイクを速く作るコト。速く走らせるコト。ホント難しいコトだけど、自分でやってみたい。当然ここ、デイトナで。「行こうよ」って声掛けてくださった根本さんに感謝感謝。行かせてくれたオヤジには、うらやましがりそうな土産話し沢山してあげて恩に報います。

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根本さん完走!5位入賞後の記念撮影。V7と共に、右からグッツイスポルト神宮司・庄司哲也さん、ご存知RC・根本さん、そして私・マサトです

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